第40章 好き、嫌い
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…。
「え?」
「だから…春風って人、私の前世の夫なの」
「え?」
…え?
え?
えっ?
えっっっっっっ!?!?!?!?!?!?
えっ
えええっ!?!?!?
「え?」
「…あなた、そればっかりね」
「えっ」
待って待って待って待って待って待って待って待って待って待って待って待って待って待って待って待って待って待って待って待って待って待って待って待って待って
え?
あ、
え?
あー、
…そういうこと?????
「…だから、病室で、あんな風に……」
「そうよ。一世一代の勇気をふりしぼったの。…でもあの人、覚えていないんだわ。」
「いやいやいやいやいやいやいや、あの人、記憶あるよ!!」
私が息を切らして言うと、アリスちゃんは目を丸くしていた。
「…そうなの?じゃあ私のことは忘れてしまったのね。」
「いいえ!?覚えてるはず!だって、奥さんの話は何回か聞いたことがあるよ…?」
「…え?」
「うん。散歩したとか、なんとか。あ、そうだ、気管が弱かったって!」
「…確かに、私は喘息で……でも、それならなんであのとき私にすみまそんなんて言ったのよ」
アリスちゃんは泣いてしまいそうだった。私はあわてて言葉を探した。
「春風さん、記憶が不安定なの!覚えていないことも多いわ。だから、多分アリスちゃんを見てもピンと来なかったのかも。」
「……本当?」
「本当!…だからさ、もう一回春風さんのところ行ってみよ?ね?」
私はぎゅっとアリスちゃんの手を握った。
彼女は唇をかんでうつむいた。
「……本当は怖いの。忘れられていることは予想していたからいいんだけど…。」
「うん。」
「……私、不細工って思われてないかしら。」
「…うん?」
「だ、だって」
アリスちゃんは顔を真っ赤に染めて恥ずかしそうに言った。
「彼、やっぱり格好いいんだもの。」
……
「アリスちゃんかわいすぎじゃない?大丈夫?」
私は思わず、真顔でそう言っていた。