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キメツ学園ー輪廻編【鬼滅の刃】

第39章 誰かが見ている


私たちはアリスちゃんに連絡をし、お見舞いに行くと伝えた。

病院の前まで自分で行くから、と言われて病院で待ち合わせをした。アリスちゃんは花束を持っていた。


「え、何それ。」

「お見舞いの花よ。どうせあなたのことだから手ぶらのつもりだったんでしょ?」


そう言われてぎくっとした。…たしかにその通り。


「それで?急にお見舞いって誰のよ。」

「あー…前、ちょっと言ったんだけど。春風さん。彼は私のいとこなの。」

「ハルカゼさん」

「そう。」


アリスちゃんは水をかぶったようにしんと静まり返ってしまった。


「まあいいわ。」


彼女はため息混じりにそう言って、さっさと行こうと言わんばかりに背中を押してきた。


「なかなか強気な子ね」


カナエがそっと耳打ちしてきた。私は苦笑した。
華奢な見た目からは想像できないだろうしな。

五人でぞろぞろと病室に押しかけても大丈夫かと思ったが、病院の人は構わないと言ってきた。


「…私も会うわけ?」

「?いや?」

「…いやっていうか、今まで面識なかったわけだし」


珍しくゴニョゴニョというので、私は首を傾げた。でも花たば持ってきてくれたのアリスちゃんだしな。


「たくさん人がいると春風さんきっと喜ぶよ。」

「……」


アリスちゃんは乗り気じゃないみたいだったけど、私は扉を開けた。

今日は家族の人もまだきていないみたいで、病室には一人だけだった。


「おや、さん…と、その他大勢の方々」


いや私以外の人の名前も呼んであげて。

春風さんは大人数の私たちを見てもにこりと笑っていた。


「よかった。一人だと退屈なので誰か来てくれないかと思っていたのですよ。」


ほら、春風さんは喜ぶ。

この人はこういう人だ。一人でいるのが嫌な人。耐えられない人。


私は笑顔で病室に足を踏み入れた。
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