第39章 誰かが見ている
「その…春風さんって、確かのいとこよね?その人に会ったら何か分かりそうなの?」
カナエにそう言われても自信を持って頷けなかった。
「……木谷と桜のみが気づいたのか…」
悲鳴嶼先輩が呟く。
その時、私は二人の共通点を思い出した。しかしそれはまだ確証のない話だと思って黙っておいた。
…まさかね。
流石に、考えすぎだよね。
「あの二人に話を聞くのが無理なら、春風さんに話を聞くのはアリだと思う。勘が鋭い人だから、何かを掴んでいるのかもしれない。」
「…だが、お前はここから動かないほうがいいのではないか?」
「そうよ。次はあなたなんだから。」
みんなが口々に意見を言い合った。
「次は私かもしれない。けど、私じゃないかもしれない。」
「…なんでそう思う?」
「この事件に巻き込まれているのは柱だけじゃない。……春風さんから始まって、カナエまで。その間に粂野さんっていう柱じゃない隊士が巻き込まれてしまった。カナエと私との間に誰かが亡くなっていたとしたら次は誰なのかわからない。」
また沈黙。
「でも、おかしくねえかァ?」
実弥が首を捻った。
「そもそもなんで春風さんから始まったんだ。」
「…確かに、おかしいわね。彼以前にも他に亡くなった人はいるはずなのに。」
「春風さん以外にも誰か被害にあったってことはあるかァ?」
「いや、そんなことは聞いていないが…。」
そうだ。春風さんから始まった。
全部春風さんから。
どうして。
「………。」
私は一つの可能性にたどり着いた。
「……とりあえず、このままだと机上の空論だし春風さんに会いに行ってみるのがいいと思う。」
しかし、それには言及せずにそう言った。
「だから、それだとお前が危ねえだろ。」
「危ない危ないって、みーんな危ないのよ!私だけじゃないわ。誰かがなんとかしないといけないのよ!」
「…それもそうだけど」
みんなは心配してくれていたが、私は頑なに自分の意見を押し通した。