第39章 誰かが見ている
「で?」
アリスちゃんは仁王立ちをし、両腕を組んで王様のように立っていた。
「何か私に隠していることがあるんじゃない?」
ぎくり。
そう。先ほどからこんな感じ。
アリスちゃんからすれば訳がわからないだろう。立て続けに事故が起こり、見知らぬ人がぽこぽこと現れ、私はボロ泣き。
そりゃこうもなる。
「あ、あの…アリスちゃん、隠し事なんて何も」
「うっざ」
アリスちゃんはギロリと私たちを睨んだ。
「いいわ。私がいると話しにくいみたいだし、散歩でもしてくる。」
私はほんの少しだけ胸がざわついた。
アリスちゃんがいなくなって、ますますお通夜のような雰囲気に拍車がかかった。
主に私の。
「ま、まあ…後で説明しましょうよ。そんなに落ち込まないで。」
「そうだ。」
カナエと先輩の慰めも全く頭に入っては来なかった。
「…そうは言っても、次は私の番だもんね…あ!なんかつい最近までこんなタイトルのドラマやってなかった?めっちゃ有名になったやつ。」
「ふざけている場合か」
「真面目ですけど」
私は頭を抱えた。
「…どうしよう」
「…確かに、どうやって対処したらいいのかわからないものね。」
「ドラマのタイトルが思い出せない」
「怒るわよ、」
と、ここら辺で私は真面目に考えることにした。
確かに、次は私の番だ。カナエの次に死んだのは私。腕を一本、足を一本落とされたことを考えれば、そこを狙われるだろう。
けど。
厳密にいえば私は死んでいない。鬼になったから。その場合は例外になるのか?どうなるのだろうか。
「…優鈴は犯人が分かったって言ってたんだよね。」
「!本当か」
「うん。……あと、桜くんも何か言いかけてた。」
私は思考を巡らせたが、わかることはここまでだった。
「会いに行こうと思う、けど…桜くんはまだ面会ができないし、優鈴も具合が良くないって言うから会いにはいけない。天晴先輩は会いに行ったら無茶しちゃうだろうし…。」
「会いに行けるのは春風さんだけ、か。…どうする?」
「…あの人なら何かわかるかもしれないけど……」
一番に頭に思い浮かんだのは陽明くんだった。…けど、あの子には関係ないことだしなあ。