第39章 誰かが見ている
「また一人でなんとかしようとしていたわね!」
唯一無二の親友は、ぐっと私に詰め寄った。
「カナエ」
無傷の姿にホッとして、へろへろと力が抜けた。
「かなえええええええ」
「あらあら〜…」
私はエグエグと子供みたいに泣いた。
その後ろから、ぬっと大きな体が現れた。
悲鳴嶼先輩だ。
「たまたまマンションの入り口で加賀美さんと会ってな…。カナエがどうしても会いたいというものだから。急に押しかけてすまない。」
「…まあよくわかんないけど全員座りなさいよ。私がお茶淹れてあげる。」
「あっ、加賀美さん…俺やりますんで…」
他人の家なのに進んで働くアリスちゃんを実弥が慌てた様子で追いかける。
「気づいたのは今朝だ。木谷の報せをニュースで見た時。…桜のことは私も知っていたから、そこで繋がった。」
「………」
ああ。
そうだ。
この人も、順番を知るうちの一人。
「よかったあ…」
「もう、ほら泣かないの。」
カナエは私の背中を撫でてくれた。その手にとても安心できる。
「かなええ、ごめんねぇ、ごめんねー…」
「…もう、私があなたに何を怒るっていうの?」
最後に会ったのは無惨と対峙していた時だった。
それをうまく言葉にしたいのにできなかった。
「うあああん」
「全く、赤ちゃんじゃないんだから」
「死んじゃうと思ったんだもん」
私は泣きじゃくりながら言った。
「また、みんながいなくなっちゃうと思ったあぁ」
カナエはそんな私をぎゅっと抱きしめてくれた。
「大丈夫。もういなくならないわ。」
「…うっ、…ぅ」
「大丈夫よ。」
私は彼女の細い体にしがみついた。
「あなたはもう一人じゃないのよ。」
そう言ってくれて、素直に嬉しかった。
アリスちゃんが様子を見に来てくれて、また泣いているのと呆れたように言った。