第4章 夢想
「お前、具合悪かったりしないか?」
急にそんなことを聞かれたので、私は首を横に振った。
「気怠いとか、眠いとか、すぐに疲れるとか」
「?まあ、寝たきりだから筋肉の衰えとかは感じるけど。」
実弥はしばらく考え込むように黙った。
「……私に痣があるの嫌なの?」
「……。いや、そうじゃねェ。」
嘘だ。第六感もだいぶ感覚が戻ってきた。今ならはっきりとわかる。
「あ、あの、なるべく君には見せないようにするから。」
慌てて服を元に戻す。
私の肌にある傷跡を見てしまったことがショックなんだと思った。けど、実弥自身たくさんの傷があるのになあ。他人のは嫌なんだろうか。うん、きっとそうだね。
「……」
「わ、何」
実弥はとん、と私の肩に顔をのせた。
「どうしたの?」
「……ちょっとこうしてていいか」
「何で急に甘えだしたのか知らないけど…やめてほしい。」
「ちょっとだァ」
…。
困った。私は確かに“ソレ”を感じているのに。
こういうことは二人だけの時に…まあ、今は二人だけど実質病室は外だし。
「おーい霧雨!ド派手に見舞…いに……」
ノックもなく開かれた病室の扉に顔を向ける。
あーあ、だから言ったのに。
「………お前ら、二人きりだとそんなに距離感バグってんの?」
そこで固まっていた実弥が動きだした。
素早く私から離れる。耳まで真っ赤だ。
「あのー、入っても良いですか?」
「どうぞどうぞ、皆さんわざわざありがとうございます。」
病室に訪ねてきたのは宇髄先輩と雛鶴さん、まきをさん、須磨さんだった。
「帰るゥ」
「ちょいちょい、まだいかないで。大丈夫だよかわいかったよ。私は永遠に忘れないよ。」
「忘れろ!ていうかわかってたなら言えよ!!」
「言ったのにやめなかったのはそっちじゃん!!」
「俺にわかるように言え!!」
「おーい、喧嘩はそこらへんにしとけー」
宇髄先輩が朗らかに笑いながら額に血管を浮かべていたので、私たちはじっと黙り込んだ。