第39章 誰かが見ている
優鈴の無事に安堵し、私たちは家に帰った。
「買い出しに行ってくるわ。冷蔵庫空っぽなんですもの。」
アリスちゃんは呆れたように言った。
「…俺が車出すよ。」
「ばか。あんたはちゃんのそばにいるのよ。」
アリスちゃんはそう言って外に出かけていった。
二人きりになったところで、私は今までのことについて考えた。
全部過去と繋がっている。違うのは、みんなが死ぬことなく生きていること。
「実弥」
私はぎゅっと隣にいる彼の手を握った。
「次はカナエだわ」
私はそう言った。
順番通りなら、優鈴の次に死んだのはカナエだった。
「…どうしてそう思うんだよ?」
実弥は怪訝そうに聞いてきた。
「考えすぎだ。今回の事故は偶然なんだ。…お前、疲れてるんだよ。」
「違う。桜くんが最後の力で教えてくれたの。…思い出せ、順番だって……。」
実弥の手を握る力が自然と強くなった。
「最初に氷雨くんが鬼に足を食われて鬼殺隊を引退した。次に安城殿が全身を切り刻まれて出血多量で死んだ。…三番目が桜くんで、腹に穴を開けられて死んだ。優鈴は失明して自分で立つこともできなくて、首を吊って死んだ。
……わかる?全部順番通りなの。みんなの怪我も死因とそっくりなの。」
「おい、やめろよ。全部偶然だ。変なことを考えるんじゃねェ。」
「優鈴は言った。犯人がわかったって。誰かがこの事故を引き起こしているのよ。」
私は何かに取り憑かれたように話を続けた。
「私もわかったの。この順番を知っているのは、鬼だって。鬼なの。鬼がやったの。」
「」
「次はカナエよ。」
震える私を実弥がぎゅっと抱きしめた。
ああ、でも。
おかしいところがあるんだよね。
「…優鈴は次は“アイツ”って言った。でも、優鈴はカナエのことをアイツなんて言わない。そんなに仲も良くなかった。…じゃあ、仲の良かった人か、目下の人。」
ぶつぶつと呟く。
「カナエの前に、死んだ人……」
「…、もうやめよう」
私は、とある場面を思い出した。
____下弦の鬼により、隊士一名死亡
_一名は負傷が激しい
__状況確認のため、隠を向かわせた
__残党の鬼がいる可能性があるため
___霞柱に、現地へ向かうことを命ずる