第39章 誰かが見ている
その後、優鈴のお母さんから連絡をもらって病院に三人で駆けつけた。
工事現場でクレーン車が故障。優鈴に備品が落下し、大怪我を負った。脳にダメージがあったらしく、失明の危険があるとのことだった。
「よく眠る子だわ。」
優鈴の母親はそう言って涙ぐんでいた。
私は優鈴の手にぎゅっと触れた。
大丈夫。
大丈夫だよ優鈴。
ぜったい私がなんとかしてみせる。だから、もう…。
一人で寂しく死んだりしないで。
「…桜くんたちが入院する病院から電話があったよ」
聞こえていないとはわかっていながら、私は優鈴に声をかけた。
「ハルナちゃん、一命を取り留めたって。」
優鈴はその時、呻き声を上げた。
病院がざわついた。意識がしばらくは戻らないだろうと言われていたのに。
優鈴はその一瞬で意識を取り戻した。