第39章 誰かが見ている
私は起き上がった。
心が空っぽになった気がした。
涙は出てこなかった。
………。
犯人がいる。誰かが仕組んでいる。優鈴は気づいていた。そして、それを教えてくれた。
誰?
誰も知らないはずの順番を知っていて、死因の詳細まで知っていた。
それを知っているのは、彼らと親しい者。つまり私しかいない……。
本当か?
それは本当か?
あの時、生きていた者の中で、それが可能な者は、他にいないか?
答えはすぐに出た。単純かつ簡単な答え。
私たちと一緒に生きていた者。
つまり。
___________鬼だ。
私はなんとか立ち上がり、スマホを握りしめた。
そしてふらふらと二人の待つリビングに向かった。
「ちゃんおはよう。私が朝ごはん作ったわ。洋食だけどいいかしら。」
テーブルの上にはハムエッグとトーストが並んでいた。
「ありがとう」
昨日の夜、何も食べられなかったのが嘘のようになんでも食べられた。二人ともホッとしていた。
テレビをつけるとニュースがやっていて、この近くの工事現場で事故があったと生中継されていた。
そばを通りかかった一般人が負傷。意識不明の重体。
はっきりと木谷優鈴と名前が報道された。
「そんな」
アリスちゃんが口元を抑えた。
「木谷が、事故に…?」
「……」
私はじっとテレビの画面を見ていた。
コレで、繋がった。
「ぜんぶ順番通りだ」
私は二人に聞こえないように呟いた。
「ねえ、木谷の病院ってわからないのかしら」
アリスちゃんが私の方を叩く。
私はまだじっとテレビを見つめていた。
「ちゃん……?」
反応のない私を彼女は怪しんでいた。