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キメツ学園ー輪廻編【鬼滅の刃】

第38章 誰も知らないはずなのに


病室から待合室に戻ると、二人は喧嘩するでもなく黙って微妙な距離を置いて座っていた。

…おいおいおいおいおい怖えな。


「ちゃん!」


アリスちゃんは私の顔を見るや否や実弥を押しのけて私のところまで来てくれた。


「どう?大丈夫そうだった?」

「え、ええ…でもやっぱり具合はまだ悪いみたい。」


押しのけられた実弥は青筋を立てて立ち上がった。


「おい、桜もこれから来るってよ。」

「そうなんだ…でもしばらく先輩を休ませてあげた方がいいかもしれない。」


そう言うと、アリスちゃんはすかさず口を挟んできた。


「桜って?」

「加賀美さんには関係ないだろ」

「あ?」


二人はまた火花を散らした。


「さ、桜くんっていうのは…私の家の裏に住んでる子で、一つ年下の男の子。…天晴先輩とも仲が良いのよ。」

「へー、そうなんだ。じゃあ教えてあげないとね。具合が悪いならね。」


アリスちゃんは勝ち誇ったような顔で実弥の顔を見ながらニヤニヤと笑った。


「じゃあ迎えにいってやらないとな。桜は車持ってねえし。」

「…あ?」


二人はバチバチに睨み合っている。


「もう!二人ともやめてよ!!今どういう状況か分かってんの!?」


さすがにムカついたので怒鳴ってしまった。待合室には他に人がいないかったためそれだけが幸いだった。

私は目に涙を溜めて二人に抗議した。


「…仲良くしようよぉ……」


グスッ、鼻をすすって服の袖で涙を拭った。


「……ご、ごめんなさい」

「悪い…」


そこでようやく二人は睨み合うことも無くなった。


「はい!仲直り!」


私は二人の手を取ってぎゅっと握った。
あ、ちなみにさっきのは嘘泣きである。いつまでも喧嘩腰な二人にムカついて演技してやりました。


「……ま、まあ?思ってたより…かは!アリ一匹分くらいは?良いやつだった?感じも?なくはないし?仲良くしてやらなくもないっていうか。」

「…まあ、友達思いのいいやつだし。すぐに手が出るのはどうかと思うけど。」


まだぶつぶつ言っていたが、私がまたうるうると涙を溜めると、二人は大人しくなった。
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