第37章 動き出した黒幕
私は立ち上がった。
実弥の隣で一緒に頭を下げた。
「結婚させてください、お願いします」
気づけばそう言っていた。
そして間髪入れずに実弥が続けた。
「お孫さんを、ください」
二人並んで頭を下げた。
「実弥くん、それはが妊娠したからなの?」
「違います」
「……」
おばあちゃんはそれを聞いて、間を空けた。
「私は良いですよ」
思わず二人で頭を上げた。おばあちゃんはにこやかに笑っていた。
「のことも、実弥くんのことも信じているもの。」
おじいちゃんはその様子を見て、ふっと微笑んだ。
「実弥くん」
「…はい」
「この子の、両親の話は君も知っている通りだ。」
おじいちゃんは重々しく話し始めた。
「息子夫婦がしたようなことを孫娘と…君たちの子供にしないかい」
「しません。誓って。」
実弥はためらわずに答えた。
「……」
私はじいっとその横顔を見つめた。………ちょっと…仕掛けてましたけどね。お父さんと似たこと。
「ははっ。の様子からすると君たちの間でも何か揉めたんだろう。」
「うっ」
おばさんが青い顔になる。実弥がダラダラと汗を流した。私はごまかせずに悲鳴を上げてしまった。
だって私の家族だもん。私と同じで、何かしらの不思議な力はこの人たちも持っているんだ。だからわかるんだ。
「詮索はしないよ。そういうことを繰り返して、幸せな夫婦になりなさい。…きっと君たちなら乗り越えられる。」
おじいちゃんがにこりと笑う。その言葉に、私たちは顔を合わせた。
そして、また頭を下げた。
「「ありがとうございます」」
二人で声がそろった。
「ほら、三人ともそんなところで座ってないで…今日は晩御飯、食べていったら?」
その後、おばあちゃんが優しい声で言うので私は堪えきれずに泣いてしまった。そんな私を見た実弥はつられたのか、目に涙を溜めていた。
緊張の糸がすっかり切れたみたいだ。
シクシクと泣く私たちを、おばさんとおじいちゃんとおばあちゃんは優しく慰めてくれた。
よかったと、心の底から思う。
この人たちが、家族でよかったと。