第37章 動き出した黒幕
私はしっかりと目を見て話した。
「私はこのことに関しては辛くありません。傷付いてはいません。実弥は誠実です。あなたの息子は、結婚していないうちに私を妊娠させようなんて考える人ではありません。」
だから、と続けた。
「もう実弥を叩かないで。叩いてるあなたを見るのは何よりも苦しい。」
「…ちゃん」
「お願い。」
思わず涙声になる。
おばさんは、泣くのをやめた。実弥は私と同じくしゃがんだ。
「母ちゃん」
「……」
「ごめん」
実弥は頭を下げた。
「けど、中途半端なことなんてしねェ。俺はを愛してる。一生償う。だから一生のそばにいる。お腹の子とも向き合う。」
「……実弥」
「だから…」
実弥は床に手をついた。
「俺はと結婚する」
はっきりと言われた言葉に、思わず泣きそうになった。でもぐっと堪えた。
「あ…私も…不束者ですが、彼と結婚したいです」
二人でそう言った。
おばさんは、しばらくした後に話し始めた。
「……実弥」
「うん」
「あなた、本当に最低なことをしたのよ」
「うん」
「そのことは許しません。」
でも、とおばさんは続けた。
「…二人の結婚は認めます」
おばさんは笑って言ってくれた。
私たちは三人で、床に座り込んだまま笑い合った。