• テキストサイズ

キメツ学園ー輪廻編【鬼滅の刃】

第36章 許せない


実弥はほっとしたように息を吐き出し、椅子の背もたれに思い切り背中を預けた。


「…ああああああああ〜〜〜〜〜〜〜」


そして間抜けな声を出した。


「え、何??」

「めっっっちゃ緊張した」

「………」


砕けたいつもの様子に、私は不憫に思ってしまった。


「…うん…久しぶりに本気で怒ったから……」

「……寿命縮まった…もう、絶対お前を怒らせない…」

「……」


…とか言いつつ、またすぐに喧嘩するんだろうなあ私たち。

つい先ほどまで会話のテンポが噛み合っていなかったのに、私たちは一緒にいた時のように会話を続けていた。


「……今すぐ外の空気が吸いてェ…」

「じゃあお会計しよっか。あ、その前にアリスちゃんのお迎え呼ばなきゃ。」

「は!?」


連絡先を探す私に実弥が目を丸くする。


「びっ…くりしたあ。何、急に変な声出して…」

「い、いや、お前、俺と一緒にいるって……帰ってくるんじゃないのか……?」

「……あぁ」


私はブンブンと手を横に振った。


「ないない。急に帰れるわけないじゃん。」

「…そうか」

「それに、しばらくはあそこにいさせてもらうつもり「しばらくっていつまでだよ!?」」


実弥が食い気味に聞いてくる。


「え?何?怖いんだけど」

「…しばらくあそこにいるのか…?」

「まあ…そうね。」

「じゃあ俺も引っ越す。」

「は」


え、何言ってんのこいつ


「あの、待って、整理しよう。」


私は前のめりになる彼を制して一息ついた。


「私たちは別れた。オッケー?」

「……認めたくねェ。」

「認めろ。で、今あなたはこうして話してきた。今どういう状況?」

「…元通りの関係に戻ったァ。」

「そうね。彼氏と彼女。」

「…これも返すゥ」


実弥はすっと小さな箱を差し出した。それは、私が突き返した結婚指輪だった。


「これで婚約者だ。」

「適当か!?」

「俺はお前の指輪持ってる。」


私があげた指輪の箱を持ってぎゅっと握りしめている。絶対に渡さないという意思を感じた。


「…うん、はい、わかりました。婚約者に戻りました!!ここまでオッケー!」

「おう。」


実弥は自信満々に親指を立てた。
/ 1161ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp