第4章 夢想
その後おじいちゃんたちが来ると二人は帰っていった。
頑張れ、ハルナちゃん。お兄さんには黙ってるから!!
新たに病室に入ってきたおじいちゃんとおばあちゃんはすっかり元気になった私にとても喜んだ。
病院の先生から改めて説明を聞かされ、二人は熱心に聞いていた。
「実弥くんも来るからねえ。」
二人ともニコニコとしていたが、疲れているのがわかった。
「ごめんね、二人とも。たくさん嫌な思いさせてるね、私。」
そう言うと、二人は首を横に振った。
「いいの。あなたが生きてさえいてくれれば、それでいいのよ。」
「それだけでいいんだ。それだけでおじいちゃんたち嬉しいからなあ。」
二人はそう言った。嘘ひとつない本心に私は嬉しくなった。
しばらくして、実弥が来た。
相変わらずの着崩したスーツ姿で転がり込むように病室に入ってきた。
「ああ実弥くん。よく来てくれたわねえ。ほら見てよ。この子ったらすっかり元気で…。」
「おかゆも食べたんらしいんだ。桜のお嬢さんが電話くれてなあ。」
二人が実弥に話しかける。
実弥は私を見て、力が抜けたように笑った。
「そうか…良かったです。」
実弥は私のところまで近寄ってきて、にこりと微笑んだ。
「おはよォ。」
私はにこりと笑い返した。
「おはよう。でも、もう夕方だよ。」
「いいんだよ。細かいことは。」
「ううん、大切だよ。」
私は窓の外を見た。
わかる。オレンジ色に染まった、綺麗な空が。
「目が覚めてからずっとね、頭の中がぐちゃぐちゃだった。自分が今どうなってるのかもよくわかってなかった。でも今ならよくわかる。だから、すごく大切なの。」
実弥は少し沈黙してから、そうだなと笑った。
おじいちゃんたちも優しく笑ってて、相変わらず私の周りのみんなはニコニコと笑っていた。