第4章 夢想
そうしていると、病室のドアが開いた。ハルナちゃんだ。
「連絡とれました!おじいちゃんたちすぐ来るって!」
「そっか。ありがとうハルナちゃん。」
私がにこりと笑うと、優鈴もそちらに目を向けた。
「じゃあ、霧雨の人たち来たら帰ろうかな。どうせシンダガワくんも来るだろうし。」
「いやだから、シナズガワ。」
相変わらず人の名前をちゃんと呼ばない。
「ハルナちゃん、帰りは優鈴に送ってもらうんだよ。ついでにパフェでもおごってもらうんだよ。」
「い、いやいやついてきてくれたのにそんな!!」
「お前何言ってんの?」
優鈴が焦ったように言う。
ハルナちゃんは戸惑いつつ、微かに期待を含んだ目で優鈴を見上げた。
「いや…帰るし、遅いとハカナくんに怒られるし、最近書が煮詰まってて、ほんとなんだ。ほんとに。」
苦し紛れの言い訳はすぐに嘘だとわかった。
ハルナちゃんの顔にわずかばかり影が落ちた。普通なら気づかないくらいの、本当に些細な変化。
でも優鈴。
あなたなら、気付いたよね。
「…から、少しだけだかんな。」
「!!」
ジトッとした目でハルナちゃんに言う。ハルナちゃんはぱあっと笑顔になって、すごく嬉しそうだった。