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キメツ学園ー輪廻編【鬼滅の刃】

第35章 頭痛の種


でも。


一度狂った歯車は、もう二度と戻すことができないのだろうか?

いいや。そんなことはない。


私は実弥が大好きだし、実弥は私が大好きだと言ってくれる。


気持ちが通じ合っている。軸がある限り、歯車は戻る。きっとまた噛み合う。


「でも、もう無理…私、ここにいたいよ」


私は泣きながらそんな弱音を吐いた。


「そうか」


実弥は水に濡れた手で私の頬を撫でた。


「……そうだよな」


悲しそうにそう言うけれど、何にも言い返せなかった。


「じゃあまた来る」

「え…」

「お前が、帰ってきてくれるまでここに来る」


迷い泣くそう言うので、思わず涙が止まる。


「え!?」


そして悲鳴のような声が出た。

……………いや、待って、そんなことされたら。


「……あー…の………」


全部バレる。

…でも。やっぱりいつかは言わなきゃいけないのかな。


「……じゃあ」

「………」

「…次はいつ来るの」


きっと急に来られたらアリスちゃんがまた怒る。
だから、聞いただけ。


「今度の連休のはじめに来る。絶対。」

「………。」


ああ。その日ならアリスちゃんのお店をお休みだ。


「わかった。連絡して。」


私ははあ、と息を吐いた。

もうその日に全部終わらせてやろうと、そんなつもりでいた。


実弥はびしょ濡れの体を乾かしに行くと浜辺に去っていった。大した言葉もないまま、その場はお開きになった。

お店に戻ると、中でアリスちゃんが青い顔をしていた。


「よかった」


アリスちゃんは私の顔を見るやいなや、わんわんと泣き出した。


「もう帰ってこないと思った」


私は元にいた場所には帰らない。帰るつもりもない。今の私が帰る場所はここ。


「アリスちゃん」


私もいっしょに泣いた。


「どうしよう、私、やっぱり彼のこと大好きなの」


そう言うと、アリスちゃんはぎゅっと私を抱きしめてくれた。


「何があっても私は味方よ」

「ありがとう」


その日、アリスちゃんは下宿の部屋に一緒にいてくれた。
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