第30章 晩夏、初秋
たまたまスーパーで会った四人と一緒に人通りの多い通りにあるカフェに入る。…いや、お肉買いたかったんですけど。
「それで、ちゃんは本当に大丈夫なの?立て続けにいろんなことがあって…心配してたのよ。」
「あ、ああ…私は何ともないです。」
「そんで、不死川は大丈夫だったのかよ。」
宇髄先輩は続けた。
「お前がいなくなったの、木谷さんの熱烈な告白の直後だろ?」
「……」
「あいつも見てたはずだし、心ここに在らずって感じだったんじゃねえの?」
………。
「わ」
「わ?」
「忘れてた、です」
宇髄先輩は電撃が走ったようにピシッと固まった。
「告白されたことをか???不死川へのフォローか???どっちだよ」
「いや…完璧に後者」
「おいおい」
先輩がガシッと私の頭を鷲掴みにした。
「あんなもん見せられて平常心でいられる男がどこにいんだよ。アホかお前は!!」
「…ドタバタしてたので」
「だからってお前…ないわー。それはないわー。」
チクチクした言い方がダイレクトに胸に刺さる。
「いい加減気づけよ…不死川はお前のこと異常なくらい大好きなんだよ。付き合って何年なんだよ。」
「11年いったかいってないかです」
「バカヤロウ」
頭を掴む手の力がどんどん強くなる。
え、痛いんですけど。
「お前は何にも変わらねえなあ!!木谷さんと二人でお出かけするわ悲鳴嶼さんとも仲良くしてるわその他もろもろ…!!反省しろお!!」
「ええ!?なんでですか!!い、いい加減手を離してください!!!」
「天元様、騒ぎを起こすとまずいです!!」
頭の骨がひび割れる前に先輩から距離をとった。