第27章 神様の言葉
スイカを食べて後片付けも終わる頃には阿国が戻ってきた。
「兄さん、なんか神社に変な人いる」
唐突にそう言うので、私も陽明くんもどきりとした。
…まさか、無惨が来たのでは、と。
「どんな人?」
「サングラスしててマスクしてる人。体が大きいの。不審者みたいに黒い服着てるし…。」
阿国は不安そうにしていた。
「…っ私が見てくる!」
気づけばそう言っていた。その時、陽明くんがピタリと動きを止めた。目が不思議な輝きを放つ。
直感的に、陽明くんは未来か何かを見ているのだとわかった。今目の前にいる私と阿国のことは見えていないのだろう。
「うん、それがいい。俺は阿国と父親のところに言いに行きます。」
「えっ!?ダメだよ、そんなの危ないよ!!」
阿国がそう言うも、陽明くんは首を横に振った。
「この未来は変えちゃいけない未来だ。」
陽明くんがはっきりとそう言った。阿国はそこで黙り込んだ。
「色々とありがとうございました。」
「ううん、とんでもない。」
私は荷物を持って立ち上がった。…さてさて、どんな奴がいるのやら。
「しっかり反省してきてくださいね。」
「…ん??」
陽明くんにそう言われて首をかしげた。
しかし、早く行かなければと駆け足でその場を去った。…うん。まあ、いつか会った時に聞けばいいか。