第26章 雨は太陽と共に
「待って」
そこで言葉を挟んだのはカナエだった。
「どうして、なの」
「…カナエ」
「どうして…?すっごく、心配してたのよ…?私たち親友でしょ……?」
カナエの声は震えていた。
「突然いなくなってしまって…どうしてそっち側にいるのよ」
「…言えない。」
「なんで」
「全部終わったら言う「なんで!!!」」
カナエが大きな声を出した。
今にも泣き出してしまいそうだったので思わず黙ってしまった。彼女はそのうちに一気にまくし立てた。
「なんで今言ってくれないの!どうして頼ってくれないの!なんで一人で行動するのよ!!!」
「……」
こんなに怒っているカナエは初めてだった。けれど、やけに私の頭は冷静だった。
「私は大丈夫だよ。」
「ッ、そういうことじゃ…」
カナエは打って変わって静かになった。
「…それじゃあ、不死川くんや私たちの気持ちはどうなるの?」
「?」
??なんで実弥が出て来るんだろう。
「彼、何も言わないのよ。急にいなくなったあなたのこと、何も。もう受け入れてるの。わかる?」
「??」
わからない。
わからなかった。
「行きましょう、さん。もう時間がない。」
「う、うん。」
私と陽明くんは無惨を連れてその場を離れた。カナエの視線が痛かった。まるで、許さないとでも言うみたいだった。
「私が言うのもおかしいが、お前はそれで良いのか」
無惨は嘲笑うように言った。
「うわ、本当に言われたくない…」
「まあ後で反省タイムを味わうといいよ。」
陽明くんが意味深に笑った。
「さんは幸せ者だね。」
「???」
「ふふっ、きっとわかるようになるんだろうね。」
高校生とは思えない大人びた横顔だった。
まるで彼が私よりずっと年上で、私が幼子になってしまったような錯覚をしてしまった。