第25章 不滅の心
次の日。
目が覚めたのは朝の六時とか。勝手に家のものは使っていいと言われたけど、ここは神社の敷地内。…どうしても緊張する。
「おっはようございまーす!!」
身支度を終えたところで陽明くんが部屋に入ってきた。…着替え終わってたからいいものの、もう少し気を使ってほしい。
「はい、これ朝ごはん〜」
陽明くんが私に差し出したのは醤油味のカップラーメンだった。彼も同じものを手にしていて、そのままズルズルと食べ始めた。
「朝からラーメンか!」
「いいじゃん。美味しいんだから。」
「…まあ」
こんな食生活で大丈夫なのかしら。とは言っても、私が口出しできるものではないけれど。
「カップラーメンじゃなくて、インスタントのはるさめにしなよ。野菜入ってるやつあるじゃん?」
「ええ〜俺これが一番好きなのに。それってさんが子供の時に食べてたから?」
そう言われてドキッとした。
…まあ、私の母親は朝ごはんを作ってくれるような人ではなかった、けど。いや作ってくれる時もあったよ?でも…どちらかというと、インスタントのはるさめにお世話になってたことが多かったというか…ゴニョゴニョ。
「はあ、陽明くんと話していると自分が見えてくるな。」
「え?」
「ほら…君は全部見透かしてくれるでしょ?思えば、今まで誰かにちゃんと自分のこと話したことないから、こういうことってすごく新鮮。」
笑いかけると、彼は不思議そうに目を見開いた。
「ふうん。普通、みんな俺のこと不気味だって言うんだけどな。」
「ええ〜?それ私に言っちゃう?君と比べたらミジンコ…って言うのがミジンコに失礼なレベルだけど!私も変な特技持ってるからさ!!」
陽明くんはズルズルと麺をすする。
「もう、いいから早く食べてよ。」
「はーい。」
その顔が赤かったことは、気づかないふりをしよう。