第25章 不滅の心
朝ごはんも食べ終え、私たちは今後のことを話し込んでいた。
「まあ、無惨の狙いは変わってないと思います。この神社と学園。この二つ。」
「あはは…変わっていて欲しかったな。」
「でもさんのおかげで時間稼ぎができました。ただ、あなたという人が突然失踪したことは反鬼舞辻派に大きな混乱を招いています。」
「へえ…」
そんな実感のないことを言われても他人事のようにしか思えないんですけど。
「まず山本先輩。俺らが初めて会った時、あの人がいましたよね。」
「ああ…愈史郎さんのこと?」
「はい。まあ、俺に将棋部の部室にくるように言われてたんですからそれが原因かと思ったんでしょうね。現に、俺のところに来ましたし。」
そう言われて驚いた。…愈史郎さんが?本当に?
「まあ知りませんとは言いましたけど。学園内での無惨の目撃情報もあったので、あちらの方々は嫌な方向に想像力を働かせたみたいですね。無惨は大したこともしていないのに、皆の精神を上手に削っていったわけです。」
「なあるほど…。でも、私は春風さんに電話したよ?」
「はい。それでみんな一安心だったみたいですね。まあ、でも本人が返ってこないのでえらいこっちゃの大騒ぎですよ。」
「えっ!大事になってないんじゃなかったの!?」「
「人が消えた割には大事になってないです。警察も動いてないし。でも、あなたが消えたことでみんな焦ってるんですよ。わかります?あなたを心配してるんです。そりゃ胃に穴が開きそうなほど。」
「…ええ…なんで…。」
あれえ?思っていた状況と全然違う感じになっちゃってるなあ…。
「なんで、ね…」
「ん?」
「……悲しい人ですね、あなたは。」
陽明くんは続けた。
「自分が誰かの大切だとは思わないんですね。」
「??」
「まあ、いいか。僕が話しても無駄だね。」
うん、と陽明くんは一人で勝手に納得する。