第25章 不滅の心
巌勝が見張っていると動けないので、チャンスはあいつが帰った定時から。無惨は夜遅くまで仕事で出ているので真夜中までの時間、私は自由だ。
…巌勝に好きにしろって言われているみたいでムカつくけどね。まあ、放っておいてくれるのはありがたいことだ。
無惨の自宅はそこらへんの家とたいして変わらない。一人で住んでるとは思えない広さだが、どこにでもある一戸建ての家だ。
調査するべき場所の目星はついている。
無惨の書斎のデスクに、一つだけ鍵がかかっていて開けられない引き出しがあるのだ。あれをどうにかして開けたいのだが…。
秘書である巌勝でもあの引き出しのことは知らないという。それならば、開けるための鍵がどこにあるかもわからない。
ここ数日、日中に鍵を探し回った。…巌勝の前ではスマホを探しているふりをしていたけどね。
その結果、鍵は見つかった。
無惨の部屋に置いてある棚に鍵は置いてあった。巌勝に見つからないようにこっそりとポケットに忍ばせておいた。
…確かめるなら今しかない。
私は意を決して引き出しの鍵を開けた。ゆっくり、慎重に中を覗き込む。
「…あ」
そこには私のスマホが入っていた。…なるほど、こんなところにあったのか。どうりで見つからないはずだよ。
スマホの他に入っていたのは何かの分厚い書類だった。
丁寧にそれを見ていく。
「………!」
そこにあったのは一人の人間の個人情報だった。
「…これは。」
分厚い書類の一枚一枚に目を通して、冷や汗が額に浮かんだ。