第23章 時を超えた告白
「鬼狩りになれば、鬼の子の僕にも存在価値があるんじゃないかって思って、鬼殺隊を目指した。」
遠い過去を思い出すように、優鈴はゆっくりと目を閉じた。
「死んだって平気なんだ。だって僕は生きてちゃいけないから。一人母さんを残すことが嫌だったけど、死ぬことは怖くなかったよ。
でもね、に会って僕の世界は変わった。生きたいって思った。…お前に追いついて、隣を歩きたかった。けど、僕は自分の恋が叶わない可能性が少しでもあるなら、一歩踏み出せもしない臆病者だったんだ。
…そもそも、僕が柱になって隣に立てる頃、もうお前には恋人がいたけどね。
生まれ変わってもそれは変わらなかったね。けど、不思議と嫌ではなかったよ。。お前を見てるとね、それだけで幸せなんだ。」
優鈴は目を開けた。
「でも、ある日突然その姿が見えなくなった。」
「……。」
「僕の目は何もうつさなくなった。……死んでしまおうと思ったよ。でも、ギリギリのところでお前が僕を引き止めてくれていたんだ。だけどね、僕は最後の最後に全部諦めたんだ。
生きることも、お前のことも、自分の人生もね。…僕は、今でもあの時自殺してしまったことを後悔してないよ。
きっと僕は世界で一番の幸せ者だったよ。鬼がいる世界にも幸せはあったよ。家族がいて、仲間がいて、毎日楽しいことばかりだった。」
優鈴は微笑む。
「だって、鬼殺隊に入ってからは、誰も僕のことを笑わなかった。」
「…優鈴」
「鬼の子じゃないって、胸を張って言えるようになった。…生き抜いたんだよ。僕は。」
細められたその目に涙が浮かぶ。
綺麗な涙だと思った。
「お前のことが好きだった。」
「うん。」
「幸せだったけど、苦しくて…。拭えなかった。でも、ハルナちゃんがこんな僕を好きになってくれた。」
「……。」
「嬉しかったよ。本当はありがとうって言いたかった。でも彼女は走ってどこかに行ってしまって、連絡もつかなかった。…だから、僕は彼女に何か伝える前に自分の気持ちにケリをつけるべきだと思った。」
優鈴は数回深呼吸を繰り返した。
「それで、あの文字を書いたのね…。」
「…そうだよ。」
「じゃあ、私」
「……いいよ。」
………優鈴
「言って、いいよ。」
微笑むと同時に涙がこぼれ落ちた。