第23章 時を超えた告白
「えっ?あの人いつの間にこんなかわいい子とそんなことになってたわけ?」
宇髄先輩が目を見開く。私たちの間にはハルナちゃんが顔を真っ赤にしてモジモジとしていた。
先輩の言う通り、ハルナちゃんはかわいい子だ。普段の優鈴を知っている人なら誰でもこんな反応をするだろう。
だって、あの優鈴だ。友達相手にも遠慮のない発言ばかりをしている優鈴がだ。
でも、アイツは私たちが思っているよりも恋に熱い男だった。
「告白してフラれたんですけど、私…その時泣いて逃げ出しちゃったんです。木谷さんはメールとかくれて心配してくれてたんですけど、それも無視してたから……謝りたくって…。」
「…そっか。」
「避けられてるのわかってるから、本番に来ちゃいました。……ずるいですよね、私。フラれた時も逃げちゃったし。ずっと無視してたのに今更…。」
「ううん。勇気を出してここまで来たなんてすごいことよ。頑張ってね。」
ハルナちゃんは目に涙をためて頷いた。先輩も頑張れと励ましていた。
「お、話をしていたら主役の登場だぜ。」
宇髄先輩が言うと、後者を揺るがすのではないかと言うくらいの大歓声が響いた。
ステージに優鈴が現れる。ゆっくりと歩いて用意された巨大な紙の上に裸足でのる。
黒を基調とした袴を着ていて、持っている筆もこれまた巨大。
「!木谷さん、かっこいい…!!」
たまらずハルナちゃんがそうこぼすので、宇髄先輩を顔を見合わせて思わず微笑んでしまった。
フラれたとはいえ、まだ好きな気持ちはあるらしい。
さて。優鈴は大丈夫だろうか。ハルナちゃんを傷つけてしまったと落ち込んでいたが、大丈夫なのだろうか。
『それでは、書道家、木谷優鈴さんによる特別ステージです。』
司会をしているのは学園の生徒だった。恐らく放送部だろう。
『では、パフォーマンス前にいくつか質問をしていきたいと思います。木谷さん、よろしくお願いします。』
『……お願いします。』
わあっと会場がわく。
「元気ないみたい…大丈夫かなあ。」
「まああの人、重度の人見知りだからな。」
緊張してるんだと先輩は言う。
確かにそれもあるだろうけど、私の目にはそれだけには見えなかった。…明らかにいつもと様子が違った。