第22章 それぞれの学園祭
ともかく、1日目が終わった。
家に帰り、少し休憩してから晩ごはんの準備にかかる。実弥には学園祭に行ってないことになってるから、彼が帰ってくる前に全部終わってないと私は絶対ボロを出す!!
おはぎがトコトコと歩き出す。
はっ。帰ってきた!!
玄関の前に座り込むおはぎの隣に私も並ぶ。
「ただいまァ」
「おかえり〜」
「にゃあにゃあ」
二人で帰ってきた実弥に飛びつく。彼は猫一匹人間一人を軽々と受け止めた。
「わ〜い!嬉しいねおはぎ!!実弥帰ってきたよお〜!」
「にゃあん、うー!!」
「おい、やめろっ、お前よじのぼんな!」
おはぎが実弥の顔面を踏んづけて頭の上にのぼった。
「にゃあ!!」
「ふっふふ!アクセサリーみたいでいいんじゃない…?」
「笑ってないで退けろ!爪がいてぇんだよ!」
実弥がキレながらそう訴えるので、おはぎに手を伸ばした。おはぎはぴょんと私に飛び乗って、するするとフローリングに戻った。
「なんでお前の言うことは聞くんだよ…!!」
「そんな怖い顔してるからじゃない?かわいいかわいい〜って言ってたら良い子にしてくれるよ。」
すると実弥は荷物を置くと、テーブルの下にいるおはぎに声をかけた。
「おい。お前はいっつもかわいいからな。」
「ふにゃ」
珍しく実弥がそう言ったのに、おはぎは鬱陶しそうにテーブルの下から私の足もとまで移動した。
「か……っかわいくねぇ…!!!」
「…今のは言い方が悪いよ。」
「……今度おやつ買ってくるゥ」
「あ!買収はずるいよ!!抜け駆けだよ!!」
おはぎはどうでもよさそうににゃんと鳴いた。
騒ぎ立てる主人達を横目に、おはぎはいつの間にかぐっすり眠っていた。