第22章 それぞれの学園祭
どうか知り合いに会いませんように。
そう祈っていたが、そこかしこに知り合いはいた。
その度に愈史郎さんのローブにコソコソと隠れた。
「アイツは水柱か。中等部にも見回りとは厳格なやつだ。」
「そうだね。」
「…もう行ったぞ。」
この繰り返しだった。いくら変装をしているとはいえ見つかると非常にまずい。
私の変装なんてみんな怪しむかと思ったが、道行く人は決してそんな素振りを見せなかった。
ふと、廊下の鏡に映り込む自分を覗き込む。
…あれ?もしかして、私馴染めてる???
「嬉しくない…」
「ん?」
はあ、本当にいい日だ!!!
お昼の時間になって人気のない体育館裏に移動する。
出店で買った焼きそばとたこ焼きを頬張りながら午後の先戦会議をする。
「何かわかったことはあるか?」
「中等部に怪しそうな人はいなかったかな…。」
「なら午後からは高等部だな。」
…高等部か。一番気乗りしないな。
だって実弥がいるからね!!!!!中等部にも高等部の先生をしてる知り合いはたくさん来てた。でも実弥がいなかったってことは、絶対高等部にいるじゃん!!
もうやだ!!この姿見られたら私は泣く。絶対に泣く。
「じゃあ行くか。」
「…うん」
最後のたこ焼きを口に含み、立ち上がった。