第20章 驚きの連続
建物の中に通された。
神社にある建物の中って初めて入った…。日本家屋と言っていいのかわからないが、どこに行っても和風スタイル。まあ神社だから当たり前だよね!!おまけに馬鹿に広くて、まるでドラマのセットみたいだ。
こんな状況じゃなければ、だが。
阿国の母は迷わず進んでいく。腕を引かれる私の後ろに縁壱さんが続く。建物の一番奥、そこに一つ部屋があった。
「阿国はいつもここにいるの。私がいつも仕事をしてる部屋から一番遠いところにいるのよ。」
「…そう、ですか。」
「ここでお勉強してるわ。最近はお兄ちゃんと離すようにしてるの。うふふ。」
母親は不気味に笑った。
「だって、お兄ちゃんはママのだもん。」
無邪気な声だった。……何だか雲行きが怪しい。
「…お兄ちゃんはどこにいるんですか?」
すると、ここでいきなり縁壱さんが核心をついた。私は思わず無言で二度振り返った。
今それが聞けるのはすげえ。
「この前までねえ、病院にいたんだけどぉ。今はお家にいるの。でもね、ママよりパパの方が好きみたい。許せないわあ。」
そしてさらりとこんなことを言ってしまうこの人も。
「…そうですか。」
縁壱さんは若干引いていた。
「そうなの。でね…。」
まだ話が続くのかと思った時、部屋の襖が開けられた。
「ちょっと、ママさっきからうるさいんだけど!」
部屋から出てきたのは紛れもなく阿国だった。
「いったい何をペラペ…ラ、…と………」
まず私と目が合った。そして、縁壱さんを見上げた。
阿国が沈黙する。すると母親は私を無理やり押しのけた。
「阿国ぃ〜。やっと話しかけてくれたわね。一週間ぶり?」
「………ちょっと、何で」
顔が青ざめていく。
「だってぇ、こうしないと阿国はママのこと好きになってくれないでしょ?」
「ッ、ママのことなんて永遠に大嫌いだよ!!!」
「ええ〜?どうしてぇ?」
目の前で口論が繰り広げられていく。それに耐えられず、思わず二人の間に体を挟んだ。