第20章 驚きの連続
「すみません!!!」
ほぼノープランで体が先に動いてしまったので、チグハグに言葉を繋いだ。
「私たち、お国と話したいことがあるんですけど、よろしいでしょうか!?えっと、そんなに時間もありませんので!!!」
と言うと、母親はすっと目を細めた。じいーと効果音がつきそうなほど私の顔を見つめてきた。
「ううん、本当に似てないわねえ。どうしてこんなに良い子ができあがったの?」
「え?」
「ママ、失礼なこと言わないでよ…。」
「お姉さんってば、最後まで面倒見れば良かったのに。」
そう言うと、途端にくるりと背を向けてスタスタと今きた道を歩いて行った。
「……嵐のようなご婦人だな。」
ほめているのかどうなのかよくわからない言葉で縁壱さんが彼女を言い表した。
「とにかく入ってください……」
阿国が私たちを部屋の中へ招き入れた。そこはいろんなものが散乱していて、お世辞にも綺麗とは言えなかった。
何の説明もないが、見た瞬間にこの部屋が何なのかわかる。
物置部屋だ。しかも、中にはガラクタばかり。唯一綺麗なものがあると思えば、阿国のものと思われる勉強道具だった。
「謙遜とかじゃなくて本当に汚いけど、適当に座る場所見つけて…ああ、あそこの椅子とか比較的綺麗かも。」
阿国はいそいそと場をセッティングし始めた。縁壱さんは部屋の有り様にポカンとして突っ立っていた。私は阿国を手伝った。
「すごいわね、これとか何に使うの?」
「お祭りの神輿の屋根の残骸だね。もう古いから使わないの。」
「へえ。」
椅子を運びながら適当に話をつなげた。
「あ、私おかし持ってるよ。パパがたくさんくれるの。」
「そう。じゃあもらうね。」
阿国は私にチョコレートをくれた。口に含むとイチゴの味がした。
そこで、ようやく立っていただけの縁壱さんが話し始めた。
「阿国」
名前を呼ばれた途端、一気に彼女の緊張感が部屋中に広がったのを感じた。私は何も言わず、二人の会話を見守ることにした。