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キメツ学園ー輪廻編【鬼滅の刃】

第20章 驚きの連続


「それで…阿国のことで話したいことと言うのは……」


恐る恐る彼に聞いた。しばらくの重苦しい沈黙の後、彼は口を開いた。


「あなたは阿国に会ったことがありますか。」

「…一度だけですけど。」

「……」


縁壱さんはまた黙った。

















「阿国は、幸せに生きていますか」





















小さな声なのに、大きな声に聞こえた。太い静かな声。それでいて、泣き喚く子供のような。

どこにでもあるような言葉だった。

でも、たくさん考えて考えて、その果てに出したのだと思う。
植物のようだった揺らぎのない心が揺らいでいた。

もうそれだけで泣きそうになってしまった。唇を噛んで堪えた。

どうしたらいい。


この人の、この気持ちに、


どんな言葉で答えればいい。


「阿国…は……」


私も言葉を考えなくてはならない。
答えなくてはならない。


「幸せだって言ってました。…それを、わかってほしいと。」

「……」

「でも」


喉が壊れたみたいに声が出し辛い。


「……私には、到底、幸せには見えないんです…!!」


正直に自分の言葉を彼に伝えた。

阿国は幸せだと私に訴えた。それをわかってほしいのだと。でも、本当はわかっていた。理解していた。

だけど、あの子の訴えを否定するのが嫌で、無意識のうちに考えないようにしていた。


「……」


縁壱さんは口を閉ざした。


「……私は」

「…はい」

「阿国と最後まで共にいられなかった。」


ゆっくり、のんびりと彼は話し始めた。


「私は阿国から逃げた。…幸せになろうとする少女から幸せを奪うようなことをしてしまった。」

「……縁壱さん」

「阿国に会って話がしてみたいんです。話したいことが山のようにあります。」


そう言った後、彼は微笑んだ。

初めて笑顔を見た。


「じゃあ、行きます?」


二次会にでも誘うテンションで私はさらりと言った。

縁壱さんはキョトンとしてポカンと口を開けた。ああ、そんな顔もできるのかと思わず吹き出してしまった。
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