第20章 驚きの連続
キメツ学園の学園祭は、夏休みが終わると準備が始まる。保護者はもちろん、誰でも入場可能になる。
それなりにセキリュティは強化されるが、スパイがいるならおそらく無意味。厄介なことに無惨には表の顔がある。学園長も堂々とは出禁にできないはずだ。
「こんなピンチに私…?」
「お前がスパイを探せばいい」
「へ?」
「あの意味のわからない力が健在なら、それでお前が探せばいい。」
「ああなるほど。」
確かに。怪しいことを考える人がいたら気配でなんとなくわかる。
「でも疑った人がスパイじゃなくて、私の思い違いだったら?」
「謝れ。お前の顔なら許される。」
「んな無茶苦茶な。」
私の顔一つで許されるような見た目なら私イラストレーターしてません。天晴先輩みたいに芸能人やってます。
「……探るくらいならできる、と思う。だけどそんなに頼りにしないでね。それに、学園祭で無惨は学園の深い部分まで入ってくるだろうし……。」
「ひとまず、学園祭で迎え撃つしかないか…。」
「今のところ、アイツは優秀な政治家だ。まだ悪事は働いていないからな。」
「……………学園祭って、いつ?」
「一週間後だ」
あ、これは詰みですね
喫茶店の一角に、どんよりとした空気が漂う。
「あ」
そこで私は思い出した。
「そういえば、私学園祭に行く予定だったわ。」
「「え」」
「書道パフォーマンスを見にいく予定だったの。書道家の人と仲良くてね。」
二人ともポカンとしていた。
『へえ!キメ学の文化祭のステージなんだ!』
『学園の書道部の子達に臨時講師として教えてるからその縁で……まあ、おじいさんたち誘っておいでよ。』
『ありがとう!』
入院中に優鈴に言われてたの忘れてたああああああ
今思い出したああああああああああ
「…これ勝ちかも」
「書道パフォーマンスがあるのは最終日です。」
珠世さんの言葉を聞いて、私はにこりと笑った。
「わかりました。」
「……」
愈史郎さんは眉間に皺を寄せて頭を抱えた。
「俺はお前の笑顔が嫌いだ。お前が笑う時は何かを黙ってしでかす時だからな。」
呆れたようにそう言われて、否定もできなかったのでまたにっこりと笑った。