第20章 驚きの連続
「すぐ…とはいかないでしょう。けれど、霞守神社を奴に奪われると非常にまずいんです。」
ここからは私が実際に体験した話だ。
「神社の本来の役目は鎮魂。あそこにはたくさんの人々の想いがある。…それが暴発すると、何が起こるかわかりません。」
「おいおい、何をファンタジーな…。」
「私たちが記憶を持って生まれたことも十分ファンタジーだよ、愈史郎さん。」
そう言うと彼は黙った。
その代わりに珠世さんが話しだした。
「ともかく、霧雨さんの話を聞いて霞守神社は守らないというのはわかりました。」
「…そのためには霞守家の人とコンタクトを……。」
「霞守家の子供は二人とも学園にいます。…ですが、ここ最近は二人とも学園に来ていません。」
「まさか、何かあったんじゃ…。」
「いえ、元から不登校気味だったのでかわりはないのですが。」
…少し気になるところだ。
「しかし、学園が狙われているとなるとまずいです。」
「え?何か?」
「お前、知らないのか?」
「んー?」
首を傾げると、珠世さんはそれがおかしいのかクスクスと笑った。
「珠世様の笑顔を生み出したこと、感謝する。」
「光栄っす。」
…守りたい、この笑顔。
てそうじゃなくて。
「で、何があるって?」
「学園祭だよ。誰でも自由に出入りできる。お前も学生時代にやってたんだろ。」
そう言われて私はハッとする。
事態のまずさがようやくわかってきたのだ。
「…学園祭って、外部の人も入れちゃう奴だよね。」
「そうだ。今年は特別に外部から人を呼んで行う盛大なパフォーマンスもある。例年より人の出入りを多いだろうな。」
「……中止になる予定は。」
「学園に隕石が落ちない限り無理だ。お前もさっき言っていたが、学園が及ぼす影響は大きい。」
思わず頭を抱えた。
「神社より学園が危ないじゃん!!」
「というか、霞守も学園にいるのだからぶっちゃけどちらもものすごくまずい。」
「そうでした!!」
やばいやばい八方塞がりだ。
「学園にはスパイがいて誰かよくわからない上に誰でも入り放題の学園祭がすぐそこまで迫っているし加えて霞守の人間が学園にいるなんてーーー」
「…文章にすると改めてやばいな。けど、まあお前がいるだろ。」
愈史郎くんは躊躇いもなく私を指さした。