第20章 驚きの連続
コーヒーを一口含んで、ひとまず仕切り直す。
「そこで無惨は私に言いました。目的は“復讐”だと。」
「…復讐」
「ふん、あの男の考えそうなことだ。」
「元鬼殺隊は狙われます。これは確実。そしてもう一つ。まず先に狙われるのは私を含めて霞守一族。」
「カスガミ」
珠世さんがハッとする。
「なぜあなたがその名を……いえ、私含めてと言うのは……」
珠世さんは知っているはずだ。
彼女が生きていた時代に阿国はいた。
「私は霞守の末裔でした。」
「!!!」
「事実を知ったのはつい最近です。…どうやら現世には霞守家の祖がいるらしい。そして彼には妹がいる。狙われるのは必然…。」
愈史郎くんだけは霞守を知らない。だから不思議そうに私たちの話を聞いていた。何かとうるさい彼が口を挟まないのは珠世さんがいるからだろうか…。
「復讐、と彼は言った。」
「……また血が流れてしまうのでしょうか。」
「いいえ。アイツは狡猾です。そんなことはしませんよ。自分が堂々と太陽の下で生きていくには人殺しなんてできない。ただ、命を奪わなくても人生を終わらせることは容易い。言って仕舞えば、社会的な死ですよ。」
そこら辺の人が聞いたら卒倒しそうな会話内容だな、と思う。興奮して声が大きくならないように最大限の注意をはらって話を進める。
「狙われるのは産屋敷家と霞守家。となると、鬼舞辻無惨が狙うのは……。」
昨日の晩、実弥の布団の上で考えていたこと。そう。答えはすぐに出た。
「現世の産屋敷家の総本部、キメツ学園。そして霞守家の総本家、霞守神社。この二つです。」
私は結論づけた。
「今私たちが住んでいる地域は学園と神社が二大巨塔のようなものです。一気に二つも失えば…いや、片方だけでもパワーバランスは崩壊する。鬼殺隊どうこうの話ではなくなる…だから無惨にはどちらも渡せません。」
「…奇しくも、学園には鬼殺隊だった人たちが大勢集まっています。おそらく霧雨さんの読みは正しいでしょう。きっと学園長…産屋敷の当主も動いていることと思います。」
「……問題は霞守神社。」
実弥や阿国ちゃんの話が本当なら、そこにいる霞守陽明という子は私より強い力を持つという。…いや、そもそもこの力の原因がその子にあるんだ。