第19章 鬼殺隊の次は
お風呂上がりにぼんやりとスマホをいじる。
もうお見合いがどうこうとかそんなことでなくなった。
どこで母親と無惨が知り合ったか知らないが、私に近づくためってことだろう。霞守の一族を壊滅させる…って言ってたし、多分目的はそれ。
でも私って霞守のこと何も知らないんだよな。産屋敷家に鬼殺隊結成を促したって実弥から聞いたけど。
鬼殺隊への復讐なら絶対産屋敷は狙われる。
産屋敷家と霞守家が狙われる。
と、すれば?
「危ないのは…」
うーん、と頭を抱えて考える。
答えはすぐに出た。
そこで部屋のドアが開いた。
「……何やってんだ、お前」
「んーーー……考え事…?」
私がスマホのどうでもいいネット記事を見ながら答えた。
実弥がひょいと私のスマホを取り上げる。
「俺の布団でか?」
「実弥も考え事する時に私のソファベッド使っていいよ。」
「いらねえよ。」
お風呂上がりの実弥はタオルで乱暴にガシガシと髪の毛を拭いていた。お風呂上がりは髪の毛がぺたんってなってて普段より幼く見える。
実弥は私の隣にゴロンと寝転がる。まだ湿った皮膚が暖かい。
「子ども体温だねぇ。実弥って湯たんぽみたい。」
「お前はもっと厚着しろよ。いっつも体冷やしやがって。」
「実弥が暖かいから丁度いいんです。」
「…調子いいな、お前。」
ぎゅうっと抱きつく。ああ、暖かい。
生きている体温だ。
「何だよ」
「生きてるなあって」
「は?」
死んだ人は冷たい。死んだ人の体温はひどく冷たい。
あの体温が本当に嫌い。だから、こうしてると安心する。
「意味わかんねえ。」
「ふふふ。」
「はあ、寝るときは自分の部屋に戻れよ。」
実弥がそう言うので、ぎゅっと腕の力を強めた。
「…戻りません」
「……あ?」
「だから…いいですよ」
「は」
じいっと実弥の顔を見つめる。
「なんかコメントないの?…………………地味に私からこんなこと言うの、初めてだと思うんだけど」
実弥から返事はなかった。
けれど、すぐに彼の顔が赤くなって、私の顔も赤くなった。