第19章 鬼殺隊の次は
桜くんには優鈴が付き添うことになった。どうやら一人になるのが怖かったらしい。家に帰ってハルナちゃんの顔を見る気にもなれなかったらしく、優鈴の家に泊まると言って帰っていった。
『』
優鈴は、帰り際に言った。
『不死川のことフォローしてやれよ。お前得意でしょ。』
そう言われて、黙って頷いた。
二人きりになった途端、実弥は倒れ込むようにぎゅっと私に抱きついてきた。まるでさっきの桜くんみたいだった。
何かにすがるかのような、不安そうな。
「大丈夫だよ。……ごめんね、酷いこと言っちゃった。」
「……許さねェ。」
「うん、それでいい。」
ぎゅっと抱きしめ返した。
実弥は背中を丸めて私の身長に合わせてくれた。
「桜に抱きつかれたことは許さねェ」
「え、怒ってるのはそのことなの」
「…玄弥のこともちょっとむかついたァ」
「う……ごめんなさい…」
でも怒っている理由のほとんどは前者らしく、背中をさすさすとさすってきた。
「あ〜、もうちょい下…」
「ここか」
「うんそこらへん……」
桜くんが触ったところを探していたらしい。ぎゅううっとまた抱きしめる力が強くなる。
「あ〜実弥かわいい、構って欲しい赤ちゃんみたい…」
「………」
「ああああああ痛い痛いしまってるしまってるからすんませんすんませんまじですんませんんんんん」
ああしまった余計なこと言った痛い痛いまじで痛い。
離してもらおうともがいて暴れていたらふらっと体制が崩れて、二人揃って倒れ込んだ。
咄嗟に実弥が私の下に潜り込んだ。受け身を取る暇がなくてそのまま実弥の上に倒れる。
「………はっ!!ごめん、大丈夫!?」
「お前はなんともないか?」
「ないよ!!!」
実弥が下敷きになったおかげで私はぴんぴんしていた。
というか実弥が本当に心配なんだが!?
「え!?大丈夫!?骨折れてない??」
「あ?折れてねぇよ。お前こそ大丈夫か。腕動くか?足は?」
「私は大丈夫だよ!!ナイアガラの滝に打たれたって平気だよ!!」
「それは危ねぇだろ。」
「え?てか後頭部強打とかしてない?もろ後ろにそのまま倒れていったけど…。」
「受け身とったァ。」
わあさすが。
何もできずにストレートで倒れた私とは違いますわ…。