第19章 鬼殺隊の次は
桜くんは妹を殺されたことで鬼殺隊の剣士となった。
大切な人を亡くした記憶は消えない。今でも夢に見る。
また無惨が現れたとなれば尚更。
「甘ったれんな」
しかし、実弥が厳しい言葉を発した。
「何かある前にお前が守れば良いだけだろうが」
「ちょっと、実弥」
「他人にすがってんじゃねえよ」
ああ、だめだ。実弥は知らない。ハルナちゃんを失った桜くんがどれほど思い詰めていたのか。
「そんなこと言っちゃだめだよ!」
「あ?本当のことだろうが。」
「じゃあ実弥は玄弥くんに何かあってもそんなこと堂々と言えるの!?」
ついカッとなってそう言い返すと、実弥の額に血管が浮かんだ。
あ。
土足で地雷踏んだ。
そう思ってぎゅっと目を閉じた。
「はーい。そこまで。お!わ!り!」
優鈴が私たち三人のおでこに一発ずつ手刀を決めた。
…めっちゃくちゃいたい!!
他の二人も相当のダメージを負ったのか苦しそうにおでこをおさえていた。
「味方で揉めてど〜すんの。鬼VS鬼殺隊VSシスコン・ブラコン戦争勃発ってかあ〜?漫画の中でやってろよ。」
優鈴は呆れ返ったかのようにため息をついた。
「シンダガワくんもハカマくんもどっちも正しいと思うよ。僕だって二人と同じようなこと考える。大切な人がまた酷い目にあったら嫌だもん。でもそれと同時に頑張らなきゃとも思うんだよね。
それぞれにそれぞれの考えがあるから、尊重し合わないといけないよ。そうやって鬼殺隊は歴史を作ってきたんじゃん?たまには意見ぶつけ合うのも必要だけどさあ。……んで、特にシンダガワくん。」
優鈴は桜くんを指さした。
「言い過ぎ。」
「……。」
実弥は桜くんに向き合った。が、桜くんは明らかに警戒していた。
「…悪かった。すまん。」
「えっ、あ、うん、いいよ。僕も…ごめんだし」
素直に頭を下げた実弥に桜くんは驚いていた。
…へえ。
また優鈴の以外な一面を見ちゃったかも。