第18章 心が痛むか、体が痛むか
「…あー……」
実弥が声を出す。
起こしたか、と思って動きを止める。
「……ん…」
実弥がもぞもぞと動いた。…はい。起きましたねこれは。
「実弥、おはよう」
「……んん…」
まだ意識が覚醒していないらしい。あああどうしようすごい可愛い。
「…朝、かァ」
「でも、まだ君が起きる時間じゃないよ。起こしてごめんね。」
「ん」
すると、また寝ようとするので慌てて後ろを振り返った。
「動けないから寝る前に離してくれませんか!?」
「断るゥ」
「即答!?」
実弥はぎゅうっとまたいっそう力を強めた。
「……お前、泣いてただろ」
寝ぼけているのか、まだ声が吐息混じりだった。
「もう泣いてないかァ…」
「……」
もしかして、泣いてることに気づいて私の部屋に来てくれたの…かな……?
「…うん、もう泣いてな」
感動してうるっときていたのに、実弥の手がもぞもぞと動いているのが分かってピタリと言葉を止めた。
実弥の顔が首筋に近づく。首に何か柔らかいものが当たった時、私は覚醒した。
「起きろおおおおおこんのクソやろおおおおお!!!!!」
「ぐっ!!!」
おはようございます。
朝一番、彼氏の腹筋に肘打ちからの右ストレート。
さいっこうの目覚めです。