第18章 心が痛むか、体が痛むか
色々なことがあって疲れていたんだと思う。泣いているうちにすぐ眠ってしまった。
目を開けた時、ベッドの上で寝転ぶ自分にびっくりした。
慌ててベッドのそばにある置き時計に目をやった。眠っていたのはほんの1時間ほどのようだ。
しかし、体が重い。
全く動かすことができなかった。この程度の睡眠では回復しないのだろうか。それにしても、マジで動かないんですけど。
おいおいおいおい、ちょっと待って。マジで。やばい何これ金縛り!?なんで動けないのよおおおおお!!!
「うーー、うーーー…うぅううううう」
何とか動こうと呻き声を上げながらもがく。
「う」
その時、自分以外の声が聞こえた。
「んぅ…」
もう数え切れないほど聞いた声だった。
頬を引き攣らせて首を動かす。
「……」
視界のはしに実弥の寝顔が見えた。…目が覚めたばかりでぼーっとしてたから気づかなかったみたいだ。
実弥が後ろから手を回してガッチリと私の体をホールドしていた。
犯人お前かよおおおおおおおおお。
さっさと起こして動こうと思ったが、実弥はすうすうと寝ていた。
…ていうか、なんでここにいる?自分の部屋で寝てたんじゃないのか。
実弥の腕から逃げようともぞもぞ動いてみたが、力では敵うはずもなく。
「んー…」
動く私を嫌に思ったのか、実弥がぎゅっと腕に力を入れてきた。
「……ふぅ…」
実弥が気持ちよさそうに寝ているのでこのままでいいんじゃないかと思う私と、なんとか離れたい私が心の中で大乱闘を起こしていた。
寝てる実弥可愛い…!でも動けないのは嫌だから離してほしい…!!くっ!どうする私……!!
「うーーん、うーん」
悩んだ結果、起こさないでなんとか腕の中から抜け出すという結論に至った。