第18章 心が痛むか、体が痛むか
怒ってそっぽを向いていると実弥が困ったようにチラチラと視線を送ってきた。
朝ごはんを食べるときもずっと。
「はっきり言っておくけど私怒ってますから!!」
首筋をさすりながら言うと彼は眉間にシワを寄せた。
「朝から噛みつくとかある!?見てこれ!!!」
服の隙間からすれを見せると、実弥は気まずそうに視線をそらした。
そこには綺麗な歯形がくっきり。
「私今日一歩も外出られないじゃない!!」
「……寝ぼけてたからァ」
「だからって噛むか普通!?」
私はムキーッと怒ってバンバン机を叩いた。
「……つーか、お前昨日いつ帰ってきたんだよ」
実弥は苦し紛れに話題を変えてきた。
ので、ハッとして冷静になった。
「……ふらふら歩いてたら天晴先輩が帰りなさいって言って連れ帰ってくれた。」
「おい情報量が多いちゃんと話せ」
「?でも実弥もう遅刻しちゃうよ。」
時計を指差すと、彼はぎょっとしたように顔をひきつらせて慌ただしく玄関に向かっていった。
「帰ってきたら話せよ!んで今日はどこにも行くな!誰にも会うな!インターホンと俺から以外の電話は無視しろ!」
革靴に足を突っ込みなからそう言ってドタバタと出ていった。
「……………束縛系男子かッ!!!!!」
玄関で遅れて一人叫び、虚しく一人で朝ごはんの残りを食べた。