• テキストサイズ

キメツ学園ー輪廻編【鬼滅の刃】

第17章 夏の終わり


「これお前の?」


実弥が私の前にある料理を指差した。


「え、うん」

「くれ」

「え」


すっとお皿を動かし、もぐもぐと食べ始めた。
まさかの行動に若干引いていると、隣で春風さんも料理に箸を伸ばしていた。

すると、実弥が箸でおかずをとって私の口にはこんできた。


「え」


と声を漏らす私の口にそれを突っ込み、また自分で食べだした。それが何回か繰り返され、丁度二人で半分ずつ食べた…と思う。


「なんだ、やっと食べた。黙ってるから気まずかったわよ。」


お母さんがホッとしたように言った。これにはピシリと固まる。春風さんも。


(お前のせいだろ)


と二人でシンクロして叫びたかった。あ、春風さんこんな乱暴な言葉使わないか…。

唯一反応したのは実弥だった。


「食ったは良いけど足りねぇ。」


……そりゃ半分私にくれたからね!!


「はあああぁぁー………」


春風さんが大きなため息をついた。それにビクッとする。髪をかきあげてテーブルに肘をついた。


「………うし、腹も膨れた」

「「え」」


今度は実弥とシンクロする。

待って春風さん今なんて言った??ちょっと普段とは想像もできないような話口調に…。


「では…あー、事の経緯を……説明しますか。」


だが一瞬で元に戻った。


「……何から話せば良いか…さんが眠っている間の話になるのですけど。」

「お金のことでしょ。」


春風さんの笑顔が引きつる。そして笑っていない目で口を挟んできたお母さんを見つめていた。

……春風さんにこんな顔をさせるなんて、よっぽどだよ…


「そうですけど、もう少しこちら側のことを考えていただいて…。」

「は?」


………。


「はい、もう続けていただいて…。」


春風さんが遠い目をする。かなり心労が溜まっているようだった。彼は申し訳なさそうに私に視線を投げたが、心底同情して頷き返した。

…話が通じないところは相変わらず、か。
/ 1161ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp