第16章 疲弊
ぐっすり眠って目を覚ました。
実弥に抱きついて寝ていたはずなのに体温を感じられなかったので、布団の中でもぞもぞと動く。
タイマーで切れる設定になっていたクーラーを実弥がつけてくれたらしく、快適な目覚めだった。
「……?」
パッと目を開けると、すぐそばにいるはずの実弥がいなかった。首を傾げて起き上がると、昨日と同じくお腹は痛いままだった。
実弥がいない。
何でだろう。あ、そういえば昨日の夜怒ってた。私と一緒にいるの嫌になったのかな。
気づけばポロポロと涙が溢れていた。悲しくてたまらなかった。再び寝転んで布団の中に潜り込み、めそめそと泣いていると部屋のドアが開いた。
「おい、朝ごはんできたぞ。何泣いてんだよ。」
実弥が布団をめくって私の顔を覗き込んだ。
「腹痛いのか?」
顔を見てもまだ泣き続けた。
「実弥いなくなっちゃったから」
「あ?リビングいたんだよ。お前なら気配でわかるだろ。」
「そんなのわかんないもん」
ぐずぐずと泣いていると、実弥が布団から引っ張り出してくれた。
「お前だって一緒に寝てても朝になったら布団からいなくなること普通にあるじゃねえか。黙っていなくなるわけねェだろ。」
「わかってる、私がバカなの、ごめん。」
実弥が私をそっと抱きしめてポンポン、と数回頭を叩いた。
「朝から泣くな。昨日何も食べてないんだから、今日はご飯食べろよ。」
「今日もダメかも…何にもできないよぉ……」
「大丈夫だよ。」
実弥が背中をさすってくれる。
今日は特別気持ちが落ち込んでいた。