第16章 疲弊
仲直りもできたところで二人でテーブルに座る。とはいえ、私は実弥が晩ご飯を食べているのをただ見ているだけだが。
「お前食わないのかよ?」
「お腹空かない。」
今日1日何も食べていないのだから空いてるんだとは思う。お腹痛いから気づけてないだけだと思うんだけど。
「でも食べないと体に悪いだろ。」
「食べたら吐くぅ〜。」
「…お前、本当に大丈夫か?」
大丈夫ですよ大丈夫。だってこれ月一で毎回来てるんだもん。…まあ薬切らすだけでこうなるなんて思ってなかったけど。
「大丈夫…一週間すれば治るから〜…」
「……明日こそ仕事ないし、学園の夏休みが終わる前に病院行くか?」
「あ〜行かない行かない。動きたくない…。そもそも始まる前に行くもんだし。私が何も考えてなかっただけっていう…つまり私がバカ…。」
私はため息をついた。
「まあ、でもいつも通りのルーティンが戻ってきたのは安心した。」
「…そうか。」
結局ケーキは食べられなかった。実弥も食べなかったので、明日一緒に食べようということになった。
夜寝る時は、朝喧嘩した反動からか一緒にいたかったので実弥の布団にお邪魔した。
「実弥ぎゅーってして」
「ん」
いつもなら嫌がるのに今日はお願いすれば何でもしてくれた。
遠慮なく抱きつくと、実弥は優しく抱きしめてくれた。真夏のクーラーが効いた部屋の中で彼の体温はあたたかく感じた。
「実弥が優しい~毎日こうならいいのになっ!」
「…それは勘弁しろォ。」
「えー毎日私のことぎゅーってしてよ。」
実弥は罰が悪そうに黙り込んだ。
「……ぎゅーじゃ済まねえんだよ。」
「??どういうこと?」
「………………」
「え!?急に寝たふり!?ちょっと~!!」
私がバタバタ暴れてゆすったり叩いたりして、実弥はようやくカッと目を見開いた。
「俺はさっきから生殺し状態なんだよ!!このまま何もしてほしくねぇなら静かに寝るか部屋戻るかしろォ!!!!!」
急に怒鳴られて頭がショートした。
しかし、だんだんと冷静になって言葉の意味を理解できるようになった。
大人しく布団に寝転ぶ。
「……実弥のエッチ」
「うるせェ、寝ろ」
実弥が言い出したことなのな私が恥ずかしくなってしまい、頭まですっぽり布団を被った。