第16章 疲弊
最悪。
気持ちの整理がつかないマジ最悪。
ごしごしと涙を拭いてはぁ、とため息をついて立ち上がる。
とりあえずご飯作ろう。もう適当でいいや。
できたご飯をテーブルに並べ、ラップをかけた。私の分はお腹が空かないので作らなかった。
…思えばずっと実弥がご飯用意してくれてたから作るの久しぶりだな……。
いつ帰ってくるんだろうか。スマホを見ても連絡はない。
自室に戻り、ベッドに寝転ぶ。
眠りたかったが、お腹の鈍痛が止むことなく続くのでそれもできずにただゴロゴロしていた。
布団にくるまってしばらくしてから、ずっと私のベッドで寝ていたおはぎがとことこと歩いて部屋から出ていった。
こういう行動をとるときは何があるか決まっている。おはぎは実弥を迎えに行ったんだ。
彼が帰ってくるんだなと思ったら玄関のドアが開く音がして、おはぎに向かって小さくただいまと言っているのが聞こえた。
私も出迎えたかったが動けなかった。……動いたら多分吐きます。それくらい頭とお腹が痛い。
……実弥は男の子だから、なるべくこういうことにならないよう定期的に産婦人科に行って薬をもらって気を付けてたんだけど。
退院したらすぐ病院いって薬もらうんだったな。今回は市販の薬を飲んで大人しくしておこう。
え~と?今は…夜の八時か。なんだけっこうガチで仕事だったんだな。朝は申し訳なかった。遅刻とかしてなければいいけど。
「」
リビングから声が聞こえた。
「、いないのか?」
不安そうな声が聞こえたので、布団から顔だけを出してリビングに叫んだ。
「いるよおぉ~」
「ケーキ買ってきた」
優しい声が聞こえてきた。
ビックリしたけど、そういえば私たちって喧嘩したときお互いのご機嫌取りのために相手の好きなものとか喜びそうなものを買ってくるのが定例化してたっけ。
………ケーキ食べたい。けど、食欲ない…。
「明日、食べるぅ~……」
いや、それより前に今朝のこと謝りたい。
起き上がろうと布団の中でもぞもぞ動いていると、実弥の足音がして部屋のドアが勢いよく開いた。