第16章 疲弊
この子といると楽しくてつい話が脱線してしまう。
慌てて話を本題に戻し、朝に情緒不安定になってしまって実弥と険悪な状態であることを伝えた。
「ああ〜…そうだったんですか…!でも情緒不安定になるのはすごくわかる…!!」
「…蜜璃…君ってば本当にいい子……!!」
さっきから私の言うこと全肯定してくれてる。好き。無理。
「なんか様子が変だとは思ったのよ、自分でもね…。」
「いつもの薬がないって不安ですね…。やっぱり病院行った方がいいんじゃないですか?」
「いや、今日はもうそんな体力残ってない。どうするかはまた考えるかな。」
外に出るだけでこんなに体力を使うとは思わなかった。…本当に体が弱っちゃったなあ。
「じゃあ家までの道教えてください!送りますから。」
「…ありがとう。」
たまたま会っただけの先輩にここまでしてくれるとは、なんていい子なんだろうか。
蜜璃は本当に可愛い自慢の後輩だ。
「何かあったら呼んでくださいね。みんな先輩に頼って欲しいって思ってますから。お手伝いができて嬉しかったです!!」
蜜璃は帰り際にそう言い残して帰っていった。
部屋に戻った私は、荷物を整理してからシャワーを浴びた。汗がベトベトで気持ち悪かったのでお風呂場に直行した。
そして、朝に汚してしまった服を手で洗った。女の子の日だとは気づかずに普通に過ごしていたので、いつの間にか汚れがついていたのだ。
これがまた大変でなんとか終わらせてから洗濯物が溜まっていることに気づいて洗濯機を回した。
室内の物干し竿に洗濯物を干してから髪の毛を乾かす。あらかたの用事を終わらせた後で、自分の部屋に戻ってベットに寝転んだ。布団にくるまってお腹を温める。
すると、いつの間にか部屋に入っていたのかおはぎが私の枕元にトコトコと歩いてきた。
「……ごめんね、薬も飲んだし、もうちょっとで元気になるからね。」
今日はたくさん動いたから、もう足が動かなかった。薬が効いてくるまで大人しくしていようと、真昼間から布団に潜り込んだ。
朝から何も食べていなかったけれど、お腹は空かなかった。頭の中では、実弥にどうやって謝ろうかとそればかり考えていた。