第16章 疲弊
「え?生理?」
蜜璃がキョトンとする。
「そう、生理。私、症状がひどいから薬を買いに行くところだったの。あと、ナプキンも。」
「……」
手短に話すと、蜜璃はあっという間にその頬を真っ赤に染めた。
「わっ私ったらなんて勘違いを!!ごめんなさいごめんなさい!!先輩ごめんなさい!!!」
「あ、謝らなくていいから…。とりあえず、車降りていいかな。」
苦笑しながらそう言うと、蜜璃はハッとしたように提案した。
「私が運転してドラッグストアまで行きます!教えてくれたらそれ買ってきますから、先輩は車で待っててください!」
「え、でもそれは悪いし…。」
「私、出かけ先から帰ってきてただけなので暇なんです!だから全然行けます!!」
蜜璃は曇りのない瞳でそう訴えた。
ここで断って一人でドラッグストアまで行く自信がなかったので、お言葉に甘えることにした。
真夏の車内で待っているのは危険なので、私はドラッグストアの前に置かれているベンチに座って蜜璃を待っていた。
彼女はすぐに戻ってきた。
「先輩!合ってると思うんですけど、一応確認してください!これお釣りです。」
「ありがとう蜜璃〜!!!」
渡された黒いビニール袋の中を確認し、私は半泣きで礼を言った。
「いえいえ!これくらいお安い御用です!いくら不死川さんが優しいからって、男の人には頼みにくいですよねぇ!!」
蜜璃が何気なく言った。
「……ソウデスネ」
「え!?私、変なこと言っちゃった!?ごめんなさい!!!」
「…あ、いや、とりあえず、車戻りましょう……。」
と言うことで私たちは車に戻った。暑くなった車内に冷房がかかり、一気に気温が下がった。
お腹を冷やさないように冷房の向きを変え、私は蜜璃に向き直った。
「せ、先輩、私さっきは…」
「いや、蜜璃は悪くないよ。確かに男の人には頼みにくいし。でも不死川くんはね、頼めばなんでも買ってきてくれるんだよ。」
「きゃっ!すごくいい彼氏!!」
「たまに羽ついてないやつ買ってくるけど」
「ああ〜惜しい!!」
……って、そんなことはどうでもいいんだ。