第16章 疲弊
杖をつきながらフラフラと歩く。
…あっつい。無理なんだが?蝉うるさっ……。夏休みももうすぐ終わるって言うのに、世間はまだ夏だなあ…。
帽子かぶってきて正解だった。ピクニックの教訓を生かしてネットで買ったんだよね。便利な時代に生まれてよかった。
……とはいえ、しんどすぎじゃない?何この暑さ。
私はなるべく日陰を歩いた。
少し暑さは和らいだが、それでもまだ暑かった。
「……」
汗が噴き出る。タオルで汗を拭う。はあ、もうどうしよう。
女やめたい。
今私が思っているのはそれだけだった。
お腹が痛い。頭が痛い。イライラする。感情が抑えられない。あとお腹痛い。意味のわからないところが痛い。そしてお腹が痛い。
女の子の日だなんて可愛らしい言い方をするけど、もういっそのこと関ヶ原の日とかにしてくれないかな。天下分け目の戦いと言っても過言ではないよ。
私はこの女の子の日の症状が重くて昔から苦しんでいた。あまりのお腹の痛みに動けず、学校を休んだこともある。今でも苦しい時は苦しい。
産婦人科で処方してもらった薬を飲んで誤魔化して生活していたのだが、体調が悪くて入院した時からもちろん産婦人科に行くことなんてできなかった。
症状を抑えていた薬がなくなった。となれば、私を襲うのは容赦ない痛み。そして、不安定になる精神。
自覚はある。わかっているけれど、自分ではどうしようもない。
今は近くのドラッグストアに向かっている。市販の薬でいいから症状を抑えるものが欲しかった。そして何より、女の子の日の必需品が底をつきそうだったので渋々買いに出かけたと言うことだ。
ああ、もう。ただでさえ体力無くなっちゃったのにこんな辛い時に外に出かけないといけないなんて…!!
女やめたい。
もう出てくる言葉なんてこれだけだ。
心が折れそうになりながらも杖をつきながらゆっくりゆっくり進む。だが、もう足が進まない。休憩しようと道中のコンビニで立ち止まった。
もうコンビニで買おうかな。でも、高い上に売ってある数が少ないしなあ…。
屋根の下に入って太陽から逃れ、ぼんやりと駐車場を眺めていた。