• テキストサイズ

キメツ学園ー輪廻編【鬼滅の刃】

第2章 混濁


次の日に実弥が来てくれた。

その日は見舞品の話をしてくれた。天井を見上げるだけの私に花を見せてくれた。白い花だった。


「でも、なんて言うかなァ。なんて花だったか…。」


実弥が首を傾けた。


「ガーベラじゃない?」


はっきりと病室に自分の声が響いた。

実弥が驚いていた。私も驚いた。


「お、おい…お前……。」

「あ、あー…、う」


やはりまだ声が出しにくい、今の一瞬だけだったのか。

それでも実弥は嬉しそうに笑った。


「……ははっ、なんかもうすっかり元気だな。」


嘘みたいだと、本当に嬉しそうに。

どれだけの苦労をかけたのか痛いほど伝わってくる。私は泣きそうになったが笑い返した。


「…これなァ、悲鳴嶼さんがくれたんだ。」


実弥は言う。


「今度呼ぶから、来たらお前からお礼言ってくれ。」


どこか悲しそうに花に笑いかけた。私はゆっくり頷いた。

/ 1161ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp