第14章 意味のわからない話
意味のわからない話にはてなマークが飛ぶ。しかし、春風さんは何も教えてくれないのでこれ以上は無駄だと思って諦めた。
そのあとも休んでいたら少し元気になって、起き上がることができるようになった。
そのタイミングで春風さんに仕事のことを切り出した。
「あの、実弥から仕事のことは春風さんがやってくれてるって聞いたんですけど…。」
「はいはい、そのことですね。私が色々勝手に動かしてましたよ。」
春風さんは部屋からパソコンをとってきて、あっさり説明してくれた。…実弥があんなに渋ってたから取り合ってくれないかと思ってたのに。
なんだ。アイツの気にしすぎじゃん。
「あなた、眠る前から元々二ヶ月間休むってことになってましたよね?」
「ええ。その告知も済んでいました。」
「本当の理由は伏せて、休みの期間を無期限で延長するという話にしておきましたよ。依頼はたくさん来ていましたが、ほとんど断っています。断りきれなかった依頼は、私の知り合いに話を通しておきました。」
仕事モードになった春風さんはスラスラと話を進めていく。
「え?知り合いって…」
「デザイン系の仕事に就いてる人ですよ。まあ、あなたと同じで個人営業の人なので。」
「あ、斡旋みたいなことしてくれたってことですか!?ええ!?」
土下座をする勢いで頭を下げた。
「え、あの、おいくら欲しいですか」
「はい…?あ、お金ですか?それはいりませんけど…。」
「なな何を!?こんなことしてくれたのにタダなんてあり得ませんよ!?私なら金を請求します!かかった経費は!?」
「さん」
春風さんが怒気を含めた声を出した。
「お、か、ね、は、い、り、ま、せ、ん」
「むぎゅ」
顔を摘まれた上に彼はいつにもない笑顔を見せている。ああ、怒っていらっしゃる…。
「良いですか、私はお金が欲しくてやっていたわけではありません。あなたが明日に目を覚ましても良いようにと思いながらやっていたんです。」
「……。」
「支えますよ。自分の時間もお金も何も惜しくはありません。あなたが今日も明日も健やかであるのなら、それ以上のものは要求しません。ですから、一言目にお金というのはやめてください。悲しくなります。」
春風さんはムッとしていた。
…そうか。
そうだった。この人は…。