第14章 意味のわからない話

思いのほか疲労感が強くて、何もできずに春風さんの家でダラダラとしていた。

彼は時々話しかけてくるだけで、特別何かを言うこともなかった。


「おや、あなた電話かかってきてますよ。」

「んー？」


そんな穏やかな時間へ終わりを告げるように春風さんが私の肩を叩いた。


「え、誰からだろ。」

「非通知ですか？」

「…また有一郎くんかな？」


私は首を傾げた。


「………」


春風さんがじっと私のスマホを見つめる。


「出ない方がいいと思います。」

「え？」

「…根拠はありませんけど。」


彼が苦い顔をする。この人がこんなことを言う時は、不思議な力が作用した時だ。何か見えたのだろうか。


「切ってください、その電話。」

「え？切るんですか？間違い電話かもしれないし、それだったらそのうち諦めますよ。」

「早く切ってください。」


珍しく強い口調でそう言われたので、仕方なく受話器のボタンを押してこちらから電話を切った。

すると、またすぐにスマホに電話がかかってきた。


……？


今…二秒もたってなかったような……。


「切ってください」

「ま、またですか？」


再びそうしたが、また電話はかかってきた。番号を見るに先ほどと同じだった。


「…電話番号間違えてるのに気づいてないのかな。教えてあげた方が……。」

「切ってください。すぐその番号を着信拒否にしてください。」


…ええ、なんで？

と思いながらも圧に逆らえず、彼の言うとおりにした。すると電話はかかってこなくなった。


「……どうしたんですか、春風さん。」

「すみません、ですが…その、とにかくあなたは気をつけてくださいね。」

「何にです？」

「…わかりません。」


春風さんは肩をすくめた。


「近々、あなたは難解な問題にぶつかるでしょう。」

「…はい……？」

「具体的なことは言えません。私が四六時中そばにいて守れるわけでもありませんから、本当に気をつけてください。」


忠告のようなことを言い残して、春風さんはため息をついた。