第97章 鬼霞
休むはず…だったんだけどな。
『無理。却下。来い。』
優鈴は認めてくれなかった。
実弥はキレてたけどあんなこと言われてまで休むのは…ということで稽古には参加することになった。
「どうしたの、。顔が真っ青よ?」
「ああ…ちょっと…いやかなり…腰が痛くて…」
「腰!?」
カナエとの会話にいきなり宇髄先輩が入ってきた。なんでかすごく楽しそうだ。
「おい!!おいおいおいおいおいおい不死川!!」
「うっせェ、なんだよ」
「新婚だな、盛り上がってるみたいじゃねぇか!」
そのまま実弥の背中を思い切り叩く。実弥はいてぇっと悲鳴をあげた。
「宇髄先輩!!」
何を言ってるのか察してしまった私は仕返しに彼の背中をぺしぺしと叩いた。
「怒んなよ、当然のことだと思うぜ?」
「こ、腰が痛いのは怪我をしたからで」
「怪我……?」
説明している途中、後ろから無一郎くんが怖い顔で寄ってきた。
「師範が怪我…?どこのどいつですか、僕、ヤりますよ…?」
「………棚の上から落ちてきた物が赤ちゃんに当たりそうだったから咄嗟に庇ったら腰に直撃したせいで痛くてたまらないだけです」
早口で説明したらみんな納得してくれたみたいでふんふん頷いていた。…ヤりますって何だろう。どういう意味だろう。
「師範…かわいそうに、僕が腰さすってあげます。」
「あ、ありがとう」
無一郎くんはやけに誇らしげに笑っていた。腰を撫でてくれる手付きが優しくて、場違いにもその成長っぷりに泣きそうになった。
「今日は僕が師範とペアですから…僕が師範を守ります。」
「それは頼もしいなぁ。」
今日は二人一組になって他のペアたちと闘うことになっていた。くじ引きでペアを決めたのだが、私は無一郎くんと一緒だった。
気の合うカナエや蜜璃と一緒になりたかったけどくじ運ばかりはしょうがない。
阿国は冨岡くんと一緒になってて、『冨岡先生と何話したら良いかわかんなぁい』と私のところまで相談に来ていた。
冨岡くんは冨岡くんで『霞守の妹は何が好きなんだ』と私に聞きに来たし。…いや自分で聞けよ。