第94章 現代版柱稽古
まあでも返り討ちにしてやったんだけどね。
「ち、近づくことさえできん…」
「参ったな。」
地面に這いつくばる二人は目の前の私をじっと睨んでくる。
「さすが霧雨さんだ。真新しい刀にこうもはやく順応するか。」
「使ってみれば良いものだよ。…でも、やっぱりあの子の刀がいいかなぁ。」
私はブンブンと刀を振り回した。
「かなりやりにくい。」
「…それで我々に勝たれては元柱の名が折れる!いくぞ伊黒!」
「あぁ…甘露寺の方も気になるが。」
同じチームなのだからそこは実弥を心配してあげてほしい。
蜜璃が心配なのは私の方だ。
私は刀を強く握りしめた。
「ごめんね、ちょっとやる気だすね。」
3分かかったかかからないか。
私は二人を退けて、蜜璃と実弥の元へ走った。
「……あのさー」
一日の稽古が終わり、夕日の下で宇髄先輩がポツリと呟いた。
「儀式に霧雨を入れるのやめねぇ?」
「「「「「賛成」」」」」
あちらこちらから同調する声が聞こえた。
「私は別に良いですけど」
「良くない!!却下!!!」
ダメぜったい!!と叫んだのは無一郎くんだけだった。
「霧雨が一人で全員倒しちまったじゃねえか!!こんな地味なもん稽古になるかあー!!!」
「……」
そう。そうなのだ。
私、なんかやる気が出ちゃってみんなを倒す…とかかわいいものじゃなくて、ボコボコにしてしまったのだ。
「まあ…確かに、霞の呼吸はが抜けたところで二人いるしね。別にいいけど。」
「えーんえーん!に叩かれたところ痛いよぉお!うわーーーーーーん!!!」
「はいそこ泣かない。」
優鈴はつっけんどんに言いながらも阿国をよしよししていた。…なんだかんだで面倒見いいよね。昔からそう。
「あーんもっとよしよししてぇ~………」
「してあげるから泣かないの」
あ、違うわ。もしかしたら主張の強い女の子に弱いってだけなのでは…?ハルナちゃんにもそうだし…。
優鈴、尻にしかれるタイプの男か。